第67回税理士試験 法人税法 計算問題

問1 工事の請負

前提:工事完成基準を採用

工事の請負の対価の額が10億円に満たないものは、長期大規模工事に該当しないため、工事が完成するまで収益及び費用を計上しない。

また、事業年度終了の時に、工事の着手の日から6月を経過していないもの、工事進行割合が20%に満たないものはその工事に係る収益及び費用はないものとすることができる。

 

 

問2 貸倒引当金

個別貸倒引当金 再生手続開始の申立て

 限度額=(個別評価金銭債権ー営業保証金)×50%

 支払手形は控除しない。

 

一括貸倒引当金

 一括評価金銭債権 手付金(前払金)は含まない、問1の完成工事未収入金から未成工事受入金を控除した金額を含む。

 貸倒実績率には前期の個別貸倒引当金の繰入額を分子に含める(問題文には、金銭債権である旨の記載はないが、試験委員の意図を考慮)。

 実質的に債権とみられないものものの原則法 

D社の資料が離れた場所にあるので注意。F社の抵当権は該当しない。

問1の完成工事未収入金と未成工事支出金の発注者ごとの大小を比較。工事ごとではなく、会社ごとに比較すべし。

 

 

問3 減価償却、特別償却準備金、美術品

 機械装置の減価償却は特別償却を準備金で処理しているため、グルーピングを行う。関税のみ取得価額に加算、かつ、償却費に含める。

特別償却準備金

 前期取得分は剰余金経理、かつ、積立不足額あり。前期積立分は実際の積立額を取崩す(耐用年数が10年未満のため、60と耐用年数×12のいずれか少ないほうが分母)。

特別償却準備金取崩不足額の別表五(一)の記載は『特別償却準備金積立超過額等』の欄に記載。積立不足額はそのものの減算・留保。

 当期取得分は損金経理なので注意。積立超過額の別表五(一)の記載は『特別償却準備金積立超過額等』の欄にまとめて記載

 美術品(あたりまえだが、法定償却費方法は定率法)

平成27年1月1日改正論点

 平成27年1月1日以後取得 

  100万円以上は、原則、非減価償却資産(高価な美術品は時の経過では価値が減少しない。)

 それ以前に取得

  改正前の判定基準(100万円ではなく、20万円)で非減価償却資産とされた美術品は、適用初年度(平成27年1月1日以後最初に開始する事業年度)に100万円を基準に再判定を行うことができる。その結果、非減価償却資産→減価償却資産の場合がある。

 

 

問4 使用人賞与、前払費用、保険料、繰延資産、交際費等、ゴルフクラブ入会金、役員給与、棚卸資産

 使用人賞与は支給時期が未到来、翌期首から1月以内に支払っていないため損金不算入

 傭船料は、工事収益が計上されていないため、それに対応する原価の損金算入は認められない。

 借家権で他に転売可能なものは見積残存年数×70%

 取引先を接待した後の従業員の帰宅のためのタクシー代は交際費等に該当(接待がなければタクシー代は不要と考える)

同業者団体の特別会費のうち、会員相互の懇親費用は交際費等、修繕負担金はその工事がまだ施工されていないため全額損金不算入。

 ゴルフクラブ入会金

  法人会員として入会→資産計上(されている)

  法人会員制度があるにも関わらず個人として入会→給与(資産計上されている場合は一旦、減算する)、役員ならば法34①、プレー料も法34①、年会費は定期同額給与のため注意

 マンション建設に当たり周辺の住民の同意を得るために開催した説明会の会場借上げ料及び茶菓代、観劇招待費用は棚卸資産の取得価額に含めるべし。

さらに、観劇招待費用は交際費等にも該当するため、原価算入交際費等の調整が必要。

 

計算問題の解き方 反省点

  • 別表の指定がなく、税務調整すべき金額としか記載されておらず、資料1の備考欄に前期別表調整として簡便に記載されていたので、それに見習って項目名を省略化した別表四として記載してしまった。
  • プレッシャーのため、焦りすぎた。
  • 交際費等の資料は、飛んでいる場合があるため、全体をちゃんと(軽くではなく)一読して資料整理をしてから、解くべきだった。
  • 問ごとに資料を一読して、資料整理、やるべきことを把握してから解くべし(これに尽きる)。